人生の最期を迎えるための準備の活動を意味する「終活」の一環として、終活旅行に出かける人が増えています。今回は、終活旅行がどのような旅行なのか、終活旅行をすることでどんなメリットが得られるのかなど、近年、注目されている終活旅行について解説していきます。

終活旅行とは

終活旅行とは、終活の一環として墓地や霊園、葬儀会場などを訪れる旅行のことです。旅行会社などによる日帰りのバスツアーなども開催されています。

終活ツアーは2013年頃から始まり、樹木葬や海洋葬、散骨といった埋葬法を見学するツアープランが話題になりました。墓地や霊園などの見学だけではなく、目的地に向かうバスの中では、終活に関するミニ講演やセミナーが行われることもあります。

個人での終活旅行では、夫婦や友達同士などでさまざまな墓地や霊園を巡ることが多いようです。また、有名なお寺や神社、教会を訪ね歩く、あるいはご自身の思い出の地を数十年ぶりに再訪するなどして、これまでの人生を振り返るといった形の終活旅行もあります。

終活で旅行をするメリット

終活旅行で墓地や霊園に実際に足を運べば、ご自身の葬儀や埋葬について考えるヒントを得られます。具体的に、葬儀の仕方、埋葬の仕方、お墓の種類、周囲の環境といったことについて考えることができるでしょう。すでにお墓があってそこに入ることになっているという場合でも、第二、第三の選択肢が見つかる可能性もあります。

また、僧侶の法話などを聞いて、宗派ごとの死生観についても学べます。人間の晩年の心の在り方についても、参考になることがあるでしょう。自分らしい最期とは……ということについて考える良い機会ともなります。お墓参りのときにご家族にどのように弔ってほしいのかという具体的なイメージが浮かぶこともあるでしょう。

終活旅行を通じ、それほど遠くない将来に訪れることになる最期を受け入れて、そのことによって今後やるべきことが分かり、前向きな気持ちになるという人も多くいます。なにより、自分の将来のために主体的に行動をすることで、気持ちが軽くなり、明るく日常を過ごせるはずです。

終活でおすすめの旅行先

終活旅行では、どんな場所に行くべきなのでしょう。もちろん、行き先に決まりなどはなく、自由に行きたいところへ行くのが本来の終活旅行ですので、ご希望があればそこへ行くのが一番です。ただ、参考として挙げるなら、次のようなところに出かけてみてはいかがでしょうか。

各宗派の総本山に行く

ある宗派の本山を統括する最高位のお寺のことを「総本山」と呼びます。総本山に足を運ぶことで、その宗派が長年に渡って受け継いできた教え、文化、建造物、仏像などと接することができます。葬儀や供養の仕方も、宗派によって異なります。実家の宗派についてもっと知りたいというときも、他の宗派について知識を得たいというときも、総本山に行くことは有意義な体験となるでしょう。

著名人が祀られる墓地・霊園を見て回る

自分が興味のある墓地・霊園を訪れるのも大きな意味があります。しかし、特に思い当たるところがないというときには、著名人が祀られている墓地・霊園を見て回るのも一つの方法です。歴史上の人物のお墓などは、終活ではなくても観光や趣味の一環としてお参りに訪れる人が多くいます。そのようなお墓や墓地、霊園を見て回るうちに、お墓の種類や環境の違いにも興味が出てくるかもしれません。そして徐々に、自分の中での理想のお墓についてもイメージが固まっていくでしょう。

自分自身を見つめ直し、人生の最期に改めて向き合うというメリットがある終活旅行ですが、それほど堅苦しく考える必要はありません。まずは行きたいと思える土地や場所をリストアップして、気軽に旅行の計画を立ててみてはいかがでしょうか。